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第65話 決めた部屋

Penulis: 八月 猫
last update Tanggal publikasi: 2026-07-31 09:01:42

 内見から帰る途中も、私は何度もスマホを開いた。

 三件目の物件。

 南向き。

 駅から十二分。

 築年数は少し古い。

 でも、あの部屋には光があった。

 何度見ても、やっぱり好きだと思う。

 理由は、うまく説明できない。

 便利さなら一件目。

 広さなら二件目。

 条件だけで選ぶなら、もっと良い部屋はあるのかもしれない。

 でも。

 あそこで暮らしたい。

 そう思えた。

 私は歩きながら、担当者から届いていたメッセージをもう一度読む。

『本日内見いただいた三件目ですが、現在ほかにも検討中のお客様がいらっしゃいます』

 少しだけ心臓が速くなる。

 取られたくない。

 そう思った自分に驚いた。

 部屋に対してそんな気持ちになるとは思わなかった。

 私は立ち止まった。

 駅前の人の流れが横を通り

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